“デスチャ運営ゴリさん”とはなんなのか

時折ゲーム内外の有益な情報を呟いて我々の注目を集める”デスチャ運営ゴリさん”。

彼はなんなのか、ということについて考えることがある。

割と多くのソーシャルゲーム関連のツイッターアカウントを見てきたつもりだが、その中でも彼は少し特殊に感じる。

公式ツイッターアカウントの内容を、スタッフが個人アカウントで補足すること自体は珍しくない。しかしデスチャ運営ゴリさんアカウントはゲームのプロモーションと不具合に関する応対に終始し、個人的なことはほとんど呟かない。公式アカウントで完結させればよいのでは、とすら思う。正体が不気味なほど不透明だ。

数少ない彼のパーソナリティがにじみ出たツイートだ。これを見る限り、デスチャ運営ゴリさんは機械翻訳から外国語のニュアンスを掴むのが苦手でフォロワーが増えたことに感謝し、朝四時半出発の飛行機で起きていられる自信のない人物ということになる。だいたいそうだろ。

リツイートを除けばこれが彼の初めてのツイートだ。ゴリさんはデスティニーチャイルドのリリースと同時に産声を上げたことになる。またこのツイートにある通り、11月23日にニコニコ生放送に出演している。ということは、少なくとも彼は肉体を持っているらしい。さらに深堀すべくさっそく当該番組を視聴してみた。

なるほど。

「なるほど」というのが私の最初の感想だ。番組内でも言われているがゴリさんの”ゴリさん感”は半端ではない。”ゴリさん”を図鑑で調べたらきっと彼が出てくる。山賊おにぎり。わからないが、山賊おにぎりという言葉が急に浮かんだ。

番組内でのゴリさんの発言はお世辞にも多いとは言えない。表情や喋り方から彼の実直な性格が伺えるが、こういった場が苦手なように見える。志倉千代丸氏のいじりに対する回答も控えめだ。ゲームの解説も同伴したあっきー氏がほとんど喋っている。

番組を見る限り、彼が自主的にああいったプロモーションアカウントを運営しているようには思えない。なんらかの背景を感じる。ゴリさんは下命された任務を忠実にこなしているのに過ぎないのだろう。ではあのツイッターアカウントに課せられた役割とはなんだろうか。想像されるのはスケープゴートだ。

なんのスケープゴートかといえば、キム・ヒョンテ氏だろう。韓国版では何か炎上騒ぎが起こるたび、ユーザーの矛先がキム・ヒョンテ氏に向いていた。ディレクターである以上ある程度は仕方ないのかもしれないが、扱いとしてはまるで悪の枢軸だ。日本版で同様の事態が発生することを運営側が危惧したのではないだろうか。

日本版を直接運営しているのはヒョンテ氏が代表を務めるSHIFT UPではなく、ステアーズだ。文句をぶつけられても「ヒョんなこと言われても……」という感じだろう。一応、日本版公式デスティニーチャイルドアカウントはあるものの、盾としては不十分だ。人間は曖昧なものに対して怒りを持続させることができない。そこで用意されたイージス艦が”デスチャ運営ゴリさん”アカウントだったのではないだろうか。

もし、「言えばやってくれそうだし、迂闊なことを言わなさそう」という理由でユーザーの不平不満を受け止める盾としてゴリさんが抜擢されたのだとしたら同情に堪えない。

私はソーシャルゲーム公式ツイッターアカウントが謝罪しているのを見るのが好きなのだが、その中でもゴリさんは誠実に対応している方だと感じる。悪く言えば面白くない。しかしイベントの空白期間にささやかな情報を投入して、少しでもユーザーを繋ぎとめようとする姿勢には好感が持てる。がんばってほしい。

ソシャゲ公式謝罪集

ゴリさんを労うだけの記事というのも意味がわからないので、この機会に私が蒐集したソーシャルゲーム公式アカウントが行ったツイッター謝罪集を共有する。

公式運営型

アカウント自体がゲームの運営公式という体を取っているもの。ユーザーから一定の距離感を保ち、ツイートも温度が低く内容は事務的なものが多い。ソーシャルゲームの公式アカウントとしてこの形が一番多いのではないだろうか。以下はグランブルーファンタジーの公式アカウントの謝罪。

このツイートのあとゲームはメンテナンスに入った。そこまでは普通の流れではあったが、この後プレイできないメンテナンス中に運営スタッフがガチャを引いた履歴があることが判明し、「サクラ行為を行っているのではないか?」という疑惑によって炎上。

それに対するガチャ履歴を残した当該スタッフのツイートがこちら。

何かを弁明しているようで何も弁明できていないこのツイートにより炎上が加速。ちょうどガチャに排出率詐称疑惑もあった時期だったため、非常に大きな騒動となった。公式アカウントのツイート自体に問題はなかったものの、別方向からぶっかけられたガソリンで炎上した味わい深い例。

艦隊これくしょんも公式運営型アカウントではあるが、こちらはユーザーとの距離感がかなり近い。非常にくだけた雰囲気で、謝罪のときも現場の混乱ぶりを割とあけすけに伝えている。

後輩からのLINEめいたこのツイートも受け入れられている。ともすれば誠意に欠けると捉えられそうなところを、むしろ好感度に転化した稀有な例。狙ってやっているとしたら相当な手練れである。

こちらはシノアリス、リリース直後の謝罪ツイート。アクセス過多によりまともにゲームが進められない状況が続き、ユーザーのストレスが限界に近付いたところで投下された。”未曽有の同時接続数”や”サーバーが臨界点を超え”という前衛的な表現が大きな反響を呼んだ。

数ある謝罪ツイートの中でもこれほどバイブスに満ちたものは少ないだろう。未曽有や臨界点といった言葉の誤用について指摘するのは野暮というものだ。とにかく大変なことが起こっている、ということを一生懸命伝えようとしているのがわかる。「いっぱいの人がたくさんきたの!」と、両手で大きく円を描く幼女が見える名文。

公式ロールプレイ型

公式がゲーム内のなんらかのキャラクターや組織に扮してツイートを行うアカウント。デスティニーチャイルド公式アカウントもこのタイプだ。公式運営型と共存しているケースも見られる。

クルセイダークエスト内に登場するセーラというキャラに扮した公式アカウント。「こんにちは! セーラですっ!」がお決まりの挨拶だ。キャラを維持したまま謝罪を行っているが、性質上謝罪が軽薄になりやすい。

本当に笑えない感じのときはこのようになる。ゲーム本編ではヤンチャな性格のキャラにこれをやられると「君、そういう感じの言葉遣いもできるんだ」とモヤっとすることがある。

こちらはFGO運営のアカウント。一見公式運営型に見えるが、【カルデア広報局より】という一文によってロールプレイ型になっている。あくまでカルデア広報局というゲーム内の一部署が謝罪を行っているという体だ。この形式であれば先述の謝罪が軽薄になるという弱点を克服できる。

余談だが、この【カルデア広報局】という一文はリリース当初にはなかった。2015年11月25日に開始されたイベント”ぐだぐだ本能寺”の告知ツイートから急につき始めた。なんらかのアサインがあったのだろうか。

テラバトルもFGOと同様、はじめに”テラ小屋メモ”という一文を挿入することでロールプレイ型を保っているが、不具合への謝罪がメモ書きなのはどうなんだ、というあたりが少し引っかかる。

政剣マニフェスティアについては引っかかるレベルを通りこしている。全国の総理のみなさんへの謝罪をツイッターで済ませますかあなた。あと”全国の総理のみなさん”ってなに。

公式ロールプレイ徹底型

エロいグランブルーファンタジーことエロブルの愛称を持つ神姫PROJECTの公式ツイッターは、公式ロールプレイ型のレジェンドだ。メンテナンス延長から詫び石配布までの全てをじゃロリ口調で踏破している。クルセイダークエスト運営は謝罪レベルが高くなると日和ったが、神姫PROJECTは違う。

緊急メンテ&お詫び未定という温度感の高い案件に対してもこの堂々たるのじゃロリ。ここまで徹底されるとあっぱれと言うほかない。このツイートに対するリプライも「お前らは無能なのじゃ」「詫び石早くするのじゃ」など、完全にのじゃナイズされているあたりも加点ポイントである。素直にブラボーだ。