小学生の時分、ゲーム機のいっさいを買ってもらえなかった私は書店に入り浸ったことがった。その時流行っていたゲームの攻略本を時間の許す限り読み漁り、どの敵が難敵でどの武器が強くまたストーリーのどのタイミングで手に入るかを暗記した。努力は実り、プレイしてるはずの友人の誰よりゲームの知識を得るに至った。買ってもらえないくせに。
また中学生の時分にはバイク雑誌やカタログをひたすら漁り、車種別の特徴やデザイン・最高時速や乾燥重量などを暗記し、その当時買うべきバイクの”正解”を自分なりに持っていた。もちろん二輪はおろか原付免許すら持っていない。もっと言うなら今でも持っていないし取るつもりもない。
高校の頃は酒だった。ウィスキー、それもシングルモルトだ。小さいキャンパスノートに産地別のページを作り、やれマッカランは12年だのと書き綴ったことがあった。無論、当時は呑めるわけもないしそもそもシングルモルトは高校生の小遣いで気軽に買えるものでもない。何より私は下戸だ。
どうやら、私は吟味が好きらしい。
はじめは物欲だったものが吟味をするうち、吟味欲ともいうべきものにすり替わり、買うべき正解が見つかったらもうそこで満足してしまう。ここは私の吟味のはけ口、吟味の吹き溜まりとして用意した。吟味の墓場だ。
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