Helltaker(ヘルテイカー)。
シンプルなパズルゲームでありながら、キャラに過積載された性癖が流星群となって着弾し、界隈に重大なインパクトを与えた本作。ここではHelltakerに登場するキャラの私的なTierリストと、簡単な感想を掲載する。
※本記事はHelltaker本編に関する軽微なネタバレを含む。
最強キャラランキング
Sランク:文句なし最強!
キャラ | 特徴と強い性癖 |
---|---|
パンデモニカ | ・世話焼きくたびれカフェインメガネ ・本作唯一の常識人枠、と思いきや ・エピローグでのウソみたいな末脚 |
モデウス | ・ハート目&ハートエフェクト完備 ・キミ呼び縦セタ束縛鈍器 ・性癖三国志の「魏」 |
アザゼル | ・悪魔調査とかいう性交渉のメタファー ・研究とかいう性交渉のメタファー ・汗っかきとかいうメタファー |
警察 | ・ワインにチーズ ・鯛茶漬けに三つ葉 ・知性ドカ盛りコーンロウ黒人婦警にタレ目巨乳ピンク髪特殊部隊 |
ジャスティス | ・達観ご隠居アネゴ肌 ・大戦経験後一線退きワケあり参謀 ・思春期男子の主食 |
ケルベロス | ・おいでおいでおいでおいで ・よーしよしよしよしいい子だねいい子わしゃしゃしゃしゃ ・アハハッ!わんわん!アッハッハッハ! |
ルシファー | ・高飛車甘党ポンコツ正妻エプロン ・即堕ち腰クネ姫カット泣きぼくろ ・下まつ毛 |
ジャッジメント | ・褐色俺っ娘無意味トンファー ・不死身の身体に柴犬のメンタル ・部屋に来たルンバと喧嘩してそう |
ズドラーダ | ・禁煙しろ、って言うので ・おもっくそ吸い込んだタバコの煙を ・口移しで吸わせてきてから ・超ド至近距離で ・「あ?」 ・って言ってもらっていいですか |
マリーナ | ・マリーナの部屋にネット環境構築するついでに配信機材とかOBSの設定もやってあげたら、連日連夜配信するストリームモンスターと化して登録者数もガンガン増えて、楽しそうで良かったと思う反面、全然こっちに構ってくれないのは寂しいから収益化一発目に「たまには一緒にパンケーキ食べよ?」って赤スパ投げたら素無視された回 |
ベルゼブブ | ・コイツだけひねりっ気ない悪魔だな ・ん、あれ、エピローグ、あれっ ・ん~~~~~~~~~~? ・なるほどそういうことハイハイなるほどね ・えっ、おっぱ ・なるほどね~~~~~~!!! |
Aランク:妥協するならアリ
いない。
Sランクキャラ解説
困憊悪魔のパンデモニカ
プレイヤーが出会う最初の悪魔、くたびれた事務員風の装いでまずは地獄のご挨拶。窓口担当らしく物腰は丁寧で薄味。きっと、これから現れるクセ者どもに慣れるための”ジャブ”みたいなキャラなのだろう。
と、思い込んだ時点でパンデモニカの術中だった。彼女の二つ名にさり気なく盛られたトリック、「困憊」は性質ではなくただの状態に過ぎないこと、に気づきもしなかった私は、エピローグでのタネ明かしをアゴにもろ喰らってしまった。回避不可という意味で「ジャブのようなキャラ」という認識は間違いではない。威力がヘビー級という誤算を除けば。
好色悪魔のモデウス
エロ漫画終盤でようやく許されるハート過積載絶頂フェイスが「通常状態」というブッ壊れ悪魔。凡人の全力を平常にするという狂った発想は「超サイヤ人状態を常に維持する」という悟空のそれとまったく同じだ。
しかし、これで終わらないのが淫蕩民族モデウスの恐ろしさ。一方的にエロマウント取るだけのキャラかと思いきや、エピローグでまさかの攻守大逆転。セリフたったひとつで、キャラの高度を「エロトンチキ」から「処女」まで振り戻す変態マニューバにはあっぱれの一言。ドスケベ鉄十字章待ったなしである。
三つ子悪魔のケルベロス
三位一体でフェチ一点突破の三頭犬。眺めているだけで誰がリーダーで、誰が一番警戒心が強く、誰が一番臆病なのかがなんとなくわかるポージングの妙は言わずもがな、ハーレム勧誘成功後とエピローグでのイラスト変化で発展する関係性がすばらしい。
地獄の番犬が新たな主人を獲得するまでのストーリー・テリング、それをやっているのだ、たった3枚のイラストで! 「3」という数字にかけられた魔法のこれぞ真髄。これが極意。ここが性癖の長篠合戦。人気上位もなるほど納得の三頭犬、バッドエンドの死因も超かわいいのでぜひ。
毒舌悪魔のマリーナ
ウォッカとターン制シミュレーションをこよなく愛するギーク悪魔。毒舌の名の通り、初見から愛想もクソもない。しかし、強烈な仏頂面の奥にはほのかな甘味がある。うま味がある。鼻腔いっぱいに広がる芳醇な香りがある。塩は塩でも、知るほどにやみつきのロイヤル白トリュフ塩対応である。
そんな酔いどれ陰キャデビルが、ビッチ丸出しのズドラーダと姉妹という設定も非常に妄想栄養価が高い。二人が洗面所の使い方で揉めてるところや、勝手に男を連れ込むズドラーダにブチギレてるところ、だけど男の好みだけはほぼ同じで自己嫌悪に陥ってるところ、想像するだけでめっちゃごはんすすむんですよね。
性悪悪魔のズドラーダ
陰キャ死すべしを信条とするヘビースモーカー・ビッチ。上述のマリーナとは姉妹だが、こちらの性格は気随気儘・自由奔放・傍若無人で禁煙無視と、いかにも対照的。
素行だけ並べると完全に女体化した浜田雅功なので恋愛対象としてはマイナス200点だったが、クリア後のエピローグ、最後の最後に垣間見せた表情(あの表情!)が惚れ高爆超マックスでプラス100億点。トータル1000飛んで2600万兆億点となり、めでたく最推しすこすこボルケーノである。
探求天使のアザゼル
ハーレムメンバー唯一の天界出身者。ならば振る舞いもさぞ清楚だろうと思いきや、天使とは名ばかりの阿修羅性欲猿。ジャッジメントの胸元に向ける視線といい、モデウスのポルノリスニングに興味津々な様子といい、完全に女子校に潜り込んだ中2男子だ。
ある意味ピュアな姿勢はそのまま愛でてよし、他のキャラと絡ませてよしと汎用性抜群。「悪魔調査の副産物でこんな薬ができたであります!」からの、Helltakerふたなり同人竿役ダービーの火の玉ド本命である。
激ヤバ悪魔のジャスティス
ベルゼブブが地獄の「門」でルシファーが「扉」だとしたら、「蝶番」にあたるのがこのジャスティス。地獄の最重要人物ともいえるキャラなのに、本人はいたって飄々。かつての地位も、ジャッジメントとの関係も、HPJと刻印されたグローブを誰からもらったのかも、決して自分からは語ろうとしないのだ。くゥ~!
これになりたい。
思い出した。これだ。私はこの「一線を退いた古強者」になりたかったのだ。昔プレイしたMMOでレベルカンスト後に初期エリアを徘徊したのも、これになりたかっただけなのだ。「初心者さんを手伝いたいから^^」なんてのはウソっぱちだ。今なら素直な気持ちで言える。知るか、課金しろ。
地獄CEOのルシファー
白手袋かわいい。
腕の組み方かわいい。
部下にナメられすぎてかわいい。
長生きしすぎてツノの色の違うのかわいい。
一人称がかわいい。独占欲がかわいい。キレ方が。赤面が。泣きぼくろが。小じわが。食レポが。向上心が。変なカチューシャが。ずっと持ってるワインが。全然飲まないワインが。……。
しまった。まるで逃げ場がない。どこに石を投げても性癖にブチ当たる。これは、脳内に散らばる幾千の「すこ」をあらん限り敷き詰めできあがった性癖の大銀河だ。新印象派のキンタマから飛び出したフェチの点描画だ。細かな所作からハーレム完成後の立ち回りまで、完璧の一言。平伏せよ、これがHelltakerメインヒロインの最終解答だ。
最高検事総長ジャッジメント
ほとんどの悪魔が「人間じゃん、めずらし」ぐらいのノリで接してくる中、ひとりだけ作画:石川賢みたいな眼とテンションで立ちはだかる近距離パワー型検事総長。ざっくりはだけた胸元はとても法の番人とは思えぬ治安の悪さだが、振る舞いが完全に「知らない人が家に来た時のワンちゃん」なので、愛おしさが勝る。
直情ゆえに、接し方で無限に変わる表情が最高にかわいい。一緒にスマブラで盛り上がりたいし、突然女の子扱いして赤面させたりもしたい。「おっ、俺にこんな服、似合うわけないだろッ!」というセリフが世界でイチバン似合う女。
大いなる蝿のベルゼブブ
旧(ふる)き佳(よ)き隣人を自称する本作のナレーター兼ストーリーテラー。ただの語り部かと思いきや、メニュー画面に居座ったり、やたら「あなた」に話しかけてきたりと、第四の壁のレオパレス施工を疑うほどメタい。
しかし、これにはちゃんと理由がある。
ネタバレなので詳細は伏せるが、道中で特殊な手順を踏むと開放される隠しルートにてベルゼブブのタネ明かしが行われる。ちなみに、自分で「可愛い」と自賛する通り、ベルゼブブの人間態はとんでもない逆パネマジだ。気を抜いていると”持っていかれる”ので注意したまえ。
警察
主人公を除けば(おそらく)唯一の人間である警察二人組。ハーレムメンバーではないが、ただの端役と切り捨てるにはあまりにも惜しい。役割上、登場頻度が低く会話も少ない。名前もないし、ピンク髪が巨乳タレ目というのも私の願望が生んだ幻覚だ。しかし、なぜだか私には見えるのだ。
悪魔の存在を暴こうとする婦警の姿が見える。うっかりモデウスと仲良くなっちゃうピンク髪が見える。モデウスとの友情を信じ、婦警の捜査を必死に邪魔するピンク髪のAパートが見える。しかしついにバレて踏み込まれてしまうも、ルシファーが悪魔キネシス的な力で丸く収めるBパートと、その後、憮然とした様子の婦警のもとに新人としてジャスティスが赴任してくるCパートが見える。1クール6話目らへんに見えるのだ。
序盤の効率的な性癖の咲かせ方
バッドエンドで性癖をアンロック
このゲームに面倒な前置きや親切なチュートリアルというものは存在しない。開始してすぐに地獄にブチ込まれ、倉庫番ライクなパズルゲームと悪魔とのちょっとした交渉を余儀なくされる。
やれば秒で理解できるゲームなので効率的な進め方もクソもありゃしないが、ひとつだけ、必ずやるべきと断言できることがある。
それは「バッドエンド」を見ることだ。
悪魔とのハーレム交渉フェイズで選択肢を誤ると、即座にバッドエンドに放り込まれる。地獄でのバッドエンドといえば末路は「死」以外ありえない。つまり、悪魔が手ずからあなたの地獄行脚にピリオドを打ってくれるわけだ。
バッドエンドへ誘う方法は悪魔ごとに個性があり、一見してエグいものから、想像力を要するものまで実にさまざま。
そして、バッドエンドに救済はいっさいない。プレイヤーに残されるのは「そりゃ死ぬわ」という説得力と「悪魔は、悪魔なんだな」という納得感だけだ。
それがいい。それでこそいいのだ。
悪魔本来の残忍さ冷酷さを知っているからこそ、ハーレムに価値が生まれ、何気ない会話に特別な意味が生まれる。ここに魅力の核心がある。すなわち「この劇薬の扱い方を、知っているのは自分だけ」という快感だ。
バッドエンドを網羅した上でエンディングに辿り着くと、この快感が波濤のように押し寄せてくる。同時に思い出すのだ。忘れかけていた原始の記憶、我が性癖のヒエログリフ。それは「アンタ、変わってるね」の一言で一週間食いつなげたあの頃の自分だ。「自分と歩く時だけ歩幅をあわせてくれる八神庵」や「自分にだけ怪我を治療させてくれるレオナ・ハイデルン」を心に飼っていたあの日の影だ。
「特別な誰かにとって特別な存在」になることに焦がれた経験があるなら、なおさらバッドエンドを逃すべきではない。あなたを開花へと導くものが、きっとそこにある。
ヒントは余さず活用
Helltakerにはパズルに詰まった時のために「ヒント機能」が用意されている。必ず活用しよう。
ちなみに、ヒント機能で得られる情報には以下のようなものがある。
- このステージの悪魔友だちいないよ
- エロ話してっからゆっくり解きなよ
- スキップしたら?
- 死ねば?
道中でヒントを教えてくれるのは、ハーレムに加えた悪魔たちだけだ。序盤こそパンデモニカが有益な情報を教えてくれるものの、徐々にどうしようもない奴らがろくでもないテンションで参加してくる。結果、ステージが進みパズルの難易度が上がるほど、ヒントの信頼度が下がってゆく。
こっちはマジメにパズルの解法を求めているのに、スキップしろだの死ねだの、さらにはパズルとは無関係の雑談まで始める始末。
たとえば、ケルベロスは遊ぶことしか考えてないし、アザゼルはモデウスの猥想に興味津々。ズドラーダとマリーナは自宅リビングのノリを持ち込むし、ジャスティスはナメられまいと必死なルシファーを茶化してご満悦。ヒントを開くと、こんな会話ばかり展開されるのだ。さて、もうおわかりか。
最っ高なんだワ。
こちとらの目的はつまるところ、異種間わちゃわちゃコメディにひねもす浸りたいだけ。それが道中で見れて、時に自分まで巻き込んでくれるんだからご馳走様である。ヒントになってないヒントに最初は違和感を覚えるものの、だんだんと「パズルは適当にやっとくから永劫無限に雑談しててくれ頼む」という気持ちになるから、人間とは勝手なものである。
ちなみに、一部のヒント会話で出現する選択肢をミスると死ぬ。選ぶ前に命を失う覚悟だけはしておこう。
クリア後に広がる世界
まず言っておくと、Helltakerはあなたに達成感を与えない。
このゲームはボリュームに乏しい。Helltaker熱でグツグツに茹で上がった感想を読んでからプレイすると、余計にそう感じるだろう。
パズルは確かにやりごたえがあるものの、ステージ数は10にも満たず、普通にやれば1時間程度で終わってしまう。肝心の悪魔たちとの会話にしたって、それぞれとのやり取りは宮沢賢治の詩より短い。
「こんだけ?」と思うかもしれない。私は思った。
こんなにも魅力的なキャラクターを揃えておいて、ここまで人を”そそって”おいて、たったこんだけで終わるのかと。その時「そうか、こんだけか」で済ませられたら良いのだが、「こんだけであってたまるかよ」という妄執に取り憑かれてしまう者がいる。
渡された薪、不完全に燃え残ったこの薪を、今度こそ私が完膚なきまでに燃やし尽くさねばならない。そんな使命感にも似た感情が、人をHelltaker二次創作や感想読み漁りに駆り立てているのだ。
HelltakerはプレイヤーにHelltaker以上のものを与えない。膨れ上がった感情の行方には、自分で決着をつけなければならない。そのための方法はいくつかあるが、特に効き目の高かったものを共有しよう。
当然ながら大ネタバレを含むのでクリア後の閲覧を強く推奨する。
作者ツイッターという処方箋
I've made a short game about flirting demon girls! It's a really stupid game, but I'll be happy if you try it out. Also, it's free!
Play on STEAM: https://t.co/BXAbuyz9n2 pic.twitter.com/FNZU7ZFKLR
— Łukasz Piskorz (@vanripperart) May 11, 2020
Helltakerの開発者であるVanripper(Łukasz Piskorz)氏その人が、なんと自らのツイッターでHelltakerの前日譚および後日談を公開してくれている。
ツイッターなのでボリュームはそれなりだが、ゲームのその後を断片的にでも描写してくれてる時点で大助かりである。セリフは当然すべて英語だが、ゲームをやった後なら魂でなんとかなるので問題ない。
Helltaker以外のイラストも多数アップされているので「アンタの画風にぞっこんイカれちまったよ……」という方にもおすすめ。
声という二次創作
Helltakerを実況プレイする際、キャラクターに即興で声を当てている方がいる。特にVtuberに多く見られるが、これがとてもよい。
実況者がプレイ中にアドリブで声をあてるわけだが、これが見事に千差万別。自分の想像より少し低かったり高かったり早口だったりと、さまざまな解釈が聴けて面白い。とりわけおすすめなのが、磯村知美氏の実況プレイだ。氏の演じたズドラーダが、私の解釈ドンピシャブルズアイ過ぎてHelltaker熱が一気に劇症化した。
プレイ中に全キャラ演じているが、すべて生きて脳に届くクオリティなのはさすがの一言。
地獄に橋をかけた男
陽炎01型という人物がいる。Helltaker日本語化パッチの作成者だ。この方の翻訳がすばらしいことは言わずもがな、氏が自身のnoteで掲載している「Helltakerほんやく後記」も読みごたえがあって面白い。
日本語化に至るまでの顛末や、キャラクターを日本語で再構成する際に腐心した点など、翻訳にまつわるあれこれが綴られている。そんなところにまで神経通わすの? というようなことが知れて非常に興味深い。
氏の仕事の業前に感動した方は、こちらも読んでみることを強くおすすめする。
Helltaker(ヘルテイカー)の製品情報
Helltaker本体
Helltakerのゲーム本体、価格は無料でクリアまでの所要時間は1~2時間程度だ。ノーコストでさっと試せるので、気になったらとりあえず触ってみるとよい。ハマればそのまま二次創作漁りに走ればよいし、気に入らなければそのまま忘れたらよい。
HelltakerDLC
HelltakerのDLCコンテンツ、内容はアートブックとパンケーキレシピでこちらは有料。中身が価格に見合うかはさておき「作者に金が払える」という明確なメリットがある。
アートブックは、悪魔が現在のデザインに至るまでの紆余曲折と、ちょっとした小ネタが知れる。パンケーキレシピの方は、マジでパンケーキのレシピだが、主人公と例の女がコミック形式で教えてくれるので満足度は高い。
Helltaker日本語化パッチ
Helltaker日本語化パッチ、Helltakerを日本語化するためのパッチである。ここでは最も有名な陽炎01型氏作成のものを紹介する。
ちなみに、日本語化パッチ自体は複数存在するため、他の訳者の解釈を知りたいという方は色々試してみるのも良いだろう。