【アークナイツ】攻撃速度について今いえること全部

アークナイツの攻撃速度について、気になることを片っ端から調べた。

「攻撃速度を構成するものは何か」から始まり、フレーム補間の話、攻撃速度の計算式、硬直フレームキャンセルによるDPS向上などを簡単な検証とともに解説する。

本記事の内容をざっくり知りたい方は「内容まとめ」を見るとよい。検証を行うにあたり、参考にした資料もまとめにて掲載。

攻撃速度検証:内容まとめ

攻撃速度に関するあれこれ

攻撃速度の正体
  • 攻撃速度とは、攻撃動作から次の攻撃動作までのクールタイムを指す
  • キャラの攻撃速度は中国版から変更されていない
  • フレーム丸めにより実際の攻撃速度は設定値から1F前後のブレが生じる
攻撃速度の計算式
  • 毎秒攻撃回数:((100+攻撃速度増加値)/(初期攻撃速度-攻撃間隔変動値))/100
  • 攻撃速度:1/毎秒攻撃回数
  • 攻撃速度増加バフは硬直フレームを短縮する傾向にある
  • 攻撃間隔変動効果は動作フレーム全体を短縮する傾向にある
スキル使用時のテクニック
  • 動作キャンセルを起こすスキル(ex.即時発動型スキル)は通常攻撃の直後に使うとよい
  • 動作キャンセルを起こさないスキル(ex.通常攻撃強化型スキル)は通常攻撃の直前に使うとよい
  • 攻撃モーションが変化、または特殊なエフェクトがつくスキルは動作キャンセルを起こす

参考資料

参考資料

攻撃速度とは何者か

攻撃発生までのクールタイム

アークナイツにおける攻撃速度とは何か。一言でいえば「攻撃動作が発生してから次の攻撃に移るまでのクールタイム」だ。

「攻撃間隔」と読み替えた方がわかりやすいが、ゲーム内では「攻撃速度」と「攻撃間隔」が別の意味を持って登場するのでややこしい。しかも、速度計算式の上でも扱いが異なるというのがより事態を複雑にしている。

とりあえず「攻撃速度は、攻撃動作発生から次の攻撃に移るまでの時間すべてを指す」とだけ覚えておけばよい。

武器を振りかぶる→相手に当てる→その後ちょっとぼっ立ちする、全部含めて「攻撃速度」である。

攻撃速度を構成するフレーム

フレーム概要

「攻撃速度」に含まれる要素をざっくり分解すると、上のようになる。

格闘ゲームで言うなら、①と②が「(攻撃)発生フレーム」③と④が「硬直フレーム」、それらをひっくるめたものが「全体フレーム」だ。

このフレームの内訳はキャラごとで微妙に異なる。攻撃速度(全体フレーム)が全く同じキャラでも、攻撃発生までが遅かったり早かったりと個性があるのだ。

たとえば狙撃の名手であるラテラーノ出身者、彼らは攻撃発生までのフレームが短く設定されていたりする。エクシアに至っては接敵から着弾まで最速0.25秒。さすが、引き金から産まれた女は一味違う。

アークナイツ中国版から変更はあるのか

明日方舟

攻撃速度が何者かわかったところで、気になるのは実際の数値だ。ゲーム内の説明では「速い」だの「やや遅い」だの曖昧極まりないが、具体的な数値は中国版ですべて暴かれている。

さて、では、日本版はどうなのか。

アークナイツは、いわゆる「おま国」的な仕様の差異がほぼないゲームだ。ただし、それは見える部分だけである。攻撃速度のようなマスクデータで関税を支払っている可能性がないとは言い切れない。

平等に見えて中身は別物、なんて例は腐るほど見てきた。このゲームは例外だなどと思えるほど純情ではない。彼らの手管は知っている。きっと何かある。変えられているに決まっている。

ということで30キャラほどフレーム単位で等倍速の攻撃速度を調査した。その結果は以下の通り。

※1F(フレーム)=1/60秒

WP DataTables

変わってねえのかよ。

調整されたキャラが多すぎて頭を抱える予定が、調整されてなさすぎて頭を抱えた。1F前後のブレは、録画環境によるコマ落ちやシステムによるフレーム丸め(後述)の影響と考えられるため相違とはみなせない。今後も調査は継続するが、とりあえず中国版からの変更はないと見てほぼ間違いない。

フレーム丸めの怪

ビーハンター

ここからは豆知識。「攻撃速度を実際に計測しようとすると1F前後のブレがちょいちょい発生するのなんで?」という疑問に対する回答のひとつだ。

ちなみに、これから記載する内容はNGAの投稿記事を参考にしている。中国語が堪能な方は、元記事を読んだ方が正確だし速い。

さて本題。

上で述べたように、キャラの攻撃速度はそれぞれ固有の数値が設定されている。しかし、実際に計測してもぴったり設定通りの数値になることは少ない。たとえばビーハンター、彼女の攻撃速度は「0.78秒」だが、実測値は0.77秒に満たない。なぜか。すべての攻撃速度は、ゲーム反映時に30FPS相当のフレーム数に丸められているから、らしい。

「フレーム数を丸める」とはどういうことか、もう少し具体的に説明する。

本来、アークナイツは30FPSのゲームだ。ぬるぬる動いて見えるのはフレーム補間技術のおかげだ。しかし、キーフレームは30FPSを基準に定められなければならない。したがって、すべての攻撃速度は30FPSで表現可能なものへと強制的に調整される。具体的には以下のような手順と考えられる。

例)ビーハンター(攻撃速度0.78秒)の場合

  1. 0.78×30=23.4
  2. 23.4を四捨五入=23
  3. 23÷30≒0.766667

②の四捨五入がつまり「丸め」である。この端数処理によって、実際の攻撃速度が1F速くなったり、遅くなったりするわけだ。

ビーハンター100本ノック検証

日本版でもこのフレーム丸めが行われているのか、中国版にならい検証したのが上の動画だ。ビーハンターが100回殴るまでにかかったフレーム数を計測し、実際の攻撃速度を調査する。

結果、100回殴り終えるまでにかかった総フレーム数は4587。攻撃速度は平均0.764秒(≒45.87F)。録画時のフレームドロップなんかも考慮すれば、なるほどという感じである。

ちなみに、動画では本当にビーハンターが100回殴ってるだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。作業用BGMにどうぞ。

攻撃速度増加バフの効果

攻撃速度バフの計算式

  • ((100+攻撃速度増加値※)/初期攻撃速度)/100=毎秒攻撃回数
  • 1/毎秒攻撃回数=攻撃速度
    ※攻撃速度バフ同士は加算

【計算例】
攻撃速度1.5秒のキャラに「攻撃速度+30」と「攻撃速度+20」この2つのバフを与えた場合は以下のようになる。

  • 毎秒攻撃回数
    ((100+30+20)/1.5)/100=1回/秒
  • 攻撃速度
    1/1=1.0秒

上が、中国版アークナイツでのバフ適用後の攻撃速度を求める式だ。

計算式を2つ載せたが、結局はどっちも意味するところは同じ。攻撃速度バフとは要するに、単位時間あたりの攻撃回数を増やすものに他ならない。

攻撃速度+50は攻撃速度+50%を意味する。そして、攻撃速度+50%は1.5秒に1回殴るキャラが1秒に1回殴れるようになることを意味する。

攻撃速度バフ計算式の検証

上述の攻撃速度計算式が日本版でも有効なのか、ざっくり検証した。

WP DataTables

アンジェリーナやアーミヤなど、攻撃速度バフを持つ連中を集めバフ前後での攻撃速度の変化を追った。結果はご覧の通り、おおむね計算値と一致した。中国版の攻撃速度計算式は、日本版でも通用すると考えてよかろう。

ちなみに中国版wikiによると、攻撃速度の増減には下限と上限があるらしいが、検証しようがないので割愛。

攻撃間隔バフの計算式

  • ((100+攻撃速度増加値)/(初期攻撃速度-攻撃間隔短縮値))/100=毎秒攻撃回数
  • 1/毎秒攻撃回数=攻撃速度

【計算例】
攻撃速度1.5秒のキャラに「攻撃間隔0.5秒短縮」を与えた場合は以下のようになる。

  • 毎秒攻撃回数
    (100/(1.5-0.5))/100=1回/秒
  • 攻撃速度
    1/1=1.0秒

攻撃間隔バフ・デバフの計算式は非常にシンプル。初期攻撃速度から短縮値、または増加値をそのまま引いたり足したりすればよい。ただし、攻撃間隔の計算は攻撃速度バフ計算とは別に行われる。

攻撃間隔変動スキルまとめと検証

短縮値や増加値をそのまま引いたり足したりせよ、といっても具体的な数値がわからなければどうしようもない。ということで、攻撃間隔を変化させるスキルその他を持つキャラの効果量をまとめた。

WP DataTables

上記の短縮変動値はすべて中国版での情報を参考にしている。日本版でも同じなのか、については取り急ぎ一部のキャラだけ検証した。

WP DataTables

おおむね中国版の情報と一致した。

調査は今後も続けるが、攻撃速度と同様、攻撃間隔の計算式についても中国版のものがそのまま使えそうである。

攻撃速度(間隔)バフが縮めているもの

攻撃速度増加および攻撃間隔短縮バフが、具体的に攻撃動作のどの部分を縮めているのか、という話。速度と間隔、それぞれの変動前後でフレーム変化を比較した。

WP DataTables

赤文字が特に大きく変動したフレームだ。攻撃速度増加は硬直フレームを短縮し、攻撃間隔増減は動作フレーム全体を変動させる傾向にある。

特にビーハンターの短縮ぶりがとんでもない。ただでさえ短い攻撃間隔が、50%オフにより手のつけられない速度になっている。頭トリガーハッピーセットのエクシアですら攻撃発生最速15Fのところを、ゲンコツワンツー10Fは凄まじい。拳速の世界観が刃牙である。

攻撃速度の実践応用

即時発動スキルは通常攻撃の後で

メテオリーテの「榴弾装填」やメテオの「装甲砕き・拡散」のように、即時発動するスキルはなるべく通常攻撃が当たった直後に使うとよい。

通常攻撃動作中にスキルを使ってしまうと、スキルの固有動作によって通常攻撃動作がキャンセルされ、通常攻撃が1回分なかったことになってしまうからだ。

メテオリーテスキル使用タイミング比較

左が「攻撃ヒット後にスキル使用」右が「攻撃動作中にスキル使用」

動作キャンセル比較用にGIFを作った。右側の通常攻撃1回目が、スキル動作に上書きされていることがわかる。

このせいで微妙にDPSが下がってしまったりもするので、即時発動系スキルは通常攻撃ヒット後の硬直時間中に使うことをおすすめする。

攻撃速度が速いキャラの場合

攻撃速度が速い、つまり攻撃後の硬直時間がほぼないキャラの場合は、スキル動作が終わるまで通常攻撃が保留される。これも実際に見ていただこう。

チェンスキル使用タイミング比較

左が「攻撃直後にスキル使用」右が「スキル未使用」

通常攻撃後のわずかな硬直時間をスキルでキャンセルしたはいいものの、スキルの固有動作が長すぎて2回目の通常攻撃開始が後ろ倒しになっている。実質、通常攻撃が1回分減ってるのとさほど変わらない。

厳密にタイミングを見計らってもこんなことになるので、硬直時間がほぼないキャラ(地上近接ユニット全般)のスキル使用タイミングは適当でよい。

通常攻撃強化スキルは通常攻撃の前に

即時発動系スキルと違い、通常攻撃強化型のスキルは、基本的には、現在の動作を上書きしない。攻撃がヒットする直前にスキルを使えば、直後の攻撃にまんまスキル効果が乗る。どういうことか。

エステルスキル使用タイミング比較

左がスキル未使用、右がヒット直前にスキル使用

こういうことだ。

ダメージを見ればスキル効果が乗っているかは一目瞭然。そして、このテクニックを使えばスキル発動中のDPSをほんのちょっと上げられる。

エステルを例に上げてもう少し具体的に説明しよう。

エステルのスキル「捨て身の覚悟(Rank5)」の効果時間は15秒だ。そしてエステルの攻撃速度1.2秒。では、スキル効果時間中にエステルは何回殴れるだろうか。

攻撃可能回数:15÷1.2=12.5回
余剰時間:0.5×1.2=0.6秒

つまり、12回殴った後に0.6秒のスキマ時間が生まれるわけだ。ここだ。この0.6秒の使い方で、今後の暮らしが変わってくる。

仮に、攻撃がヒットした直後にスキルを使ってしまったとしよう。すると、0.6秒の余剰は硬直時間のため消費され、スキル効果時間中に殴れる回数は12回にとどまる。

だが、攻撃がヒットする寸前にスキルを使ったとしたらどうだ。0.6秒の余剰分を初撃に割り当てることになるため、攻撃回数は初撃+12回=13回となる。

もどかしい。言葉ではどうにも説明がしにくい。結局見てもらうのが一番わかりやすい。動画だ。わたし、動画みせる。おまえ、どうがみる。きっとわかる。

動作が上書きされるたくさんの例外

上で「通常攻撃強化型スキルは動作を上書きしない」と書いたが、例外がある。そして、たぶんいっぱいある。

一番わかりやすいマンティコアを例に取ろう。使うのは「スコーピオンテール」、攻撃間隔が増加するかわりに攻撃性能を大幅に強化するスキルだ。これを通常攻撃直後に使うと、果たしてどのような挙動になるか。

マンティコアのスキルキャンセル挙動

ご覧の通り、スキルを使った瞬間、攻撃動作をやり直してしまう。挙動としては、即時発動型スキルと全く同じだ。

はじめ、スキル使用で攻撃間隔が変わってしまうせいかと思ったが、違う。攻撃間隔変動を伴わないスカジのスキル「海嘯の悲歌」でも、同様の現象が見られたからだ。攻撃間隔は関係ない。では、動作をキャンセルするスキルと、それ以外とを分かつ要素はなんなのか。

ここからは推測。おそらく「スキル効果中に攻撃モーションが変化、または特殊なエフェクトが発生するもの」が、動作キャンセルを起こすスキルだと思われる。

カジの「海嘯の悲歌」では、攻撃モーションそのものに大きな変化はない。だが注意深く見てほしい。たまに足元でちょっとシャチが跳ねるのだ。

シャチ跳ね

これだ。きっとこいつのせいだ。このシャチひと跳ねと引き換えに、動作キャンセルの業を背負ってしまったのだ。頭にきたのでシャチの攻撃速度も調べた。

WP DataTables

スキル使用から何フレーム目でシャチが跳ねたのかを記録し、そこからシャチの跳ね間隔を調査した。結果、シャチはスキル使用から約1秒後に1回跳ね、その後は420F(=約7秒)間隔で跳ねていることがわかった。

シャチがアンジェリーナ素質の影響を受けるかどうかも調べたが、そちらはちょっとなんともいえない。跳ね間隔が短縮されているとも、ただの計測誤差ともつかない結果だ。試行回数を増やせばもう少し正確な数値が出せると思うが、出せたからなんだ。

ともかく、スキルに派手なエフェクトを伴うものが動作キャンセルを起こすのだとしたら、星6の主砲スキルはだいたい対象になる。上で述べたような、スキル効果時間中のDPS増加テクニックは使えない。

ちなみに、動作キャンセルを伴うスキルは、即時発動型スキルと同じく硬直時間もキャンセルしてくれる。通常攻撃の直後に使えば、硬直時間を無視して次撃が放たれるので、そのように使うとよい。