本記事で解剖するのは増幅機敏性という怪物。ノーマルとスライド、それぞれにどの程度の影響を及ぼす代物なのかについての調査だ。
ちなみに、今回の記事はDiscordでの検証結果をふまえてのものだ。その関係で、チャンネル参加者のうち一部の方のお名前を引用している。
検証方法
使用キャラ
増幅機敏性の検証には星3モルガナを使用。イグニッションと非イグニッションの2体を用意して、それぞれの実測ダメージを比較して検証を行った。
モルガナは、リリース当時、ヒーラーとしてお世話になったので個人的に思い入れが深い。性能も、補助型でゲージチャージが速いし、スキルに余計なもの(追加・防御無視)がついてないので検証に申し分ない。
使用ステージ
今回の検証で殴られ役に使用したのは、チャプター2の幕間1章ステージ8の1ラウンド目に出現する「コクーン(推定防御力:2360)」。
増幅機敏性の効果
増幅機敏性とノーマルスキル
ノーマルスキル使用時、増幅機敏性+50ごとに弱点攻撃が10%増加する。増幅機敏性300なら+60%、400なら+80%だ。これはルパンやレオのドライブバフの倍率に等しい、といえばその凄まじさが伝わるだろう。
非有利属性を殴った時のダメージ
属性有利ではない時、増幅機敏性の効果はどうなるのか。これについては、Discord検証チャンネルに投稿されたFAKE?さんの検証結果を引用させていただく。
上の表は、増幅機敏性コアを装着した水マフデト(ステータス)で、コクーンを殴った際のダメージを記録したものだ。ノーマルスキルダメージ(非クリティカル)だけを抜き出すと以下のようになる。
見ての通り、増幅機敏性の弱点攻撃増加効果はビタイチ機能していない。当然といえば当然だが、増幅機敏性は属性有利を突かなければほぼ無意味だ。敵の属性が固定されるPvE向けのステータスといえる。
増幅機敏性とスライドスキル
ノーマルスキルと同様、スライドスキル使用時にも増幅機敏性+50ごとに弱点攻撃が+10%されていると思われる。
思われる、と濁したのは、スライドスキルには機敏性によるダメージの下振れと上振れが設定されているからだ。数十回の試行回数程度では断言できないし、なにより厄介なのは、この上振れ部分が増幅機敏性によってブーストされているっぽいからだ。
上の表は、スライドスキルでモルガナをひたすら殴り、その中での最小ダメージと最大ダメージを記録したものだ。ダメージ増加率は最小ダメージ同士を比較して算出している。この結果から、スライドスキルでもノーマルと同様の弱点攻撃増加効果が得られている、と結論づけた。
スライドの上振れブースト
増幅機敏性の持つもう一つの効果で、記事タイトルで「ちょっとしたサービス」とした部分がこの上振れブーストだ。
スライドスキルは、装備機敏性の多寡に応じて最大ダメージが変化する。装備機敏性が高いほど、出力されるダメージの平均が上がるのだ。これが増幅機敏性によりブーストされている。具体的にどの程度変わっているのかはよくわからない。検証した限りでは、装備機敏性の影響が少なくとも倍になっている。
とはいえ、最終ダメージへの影響は攻撃力のそれよりも小さい。結局、攻撃力>機敏性の図式は変わらない。今いえるのは、増幅機敏入りコアを装着させたキャラの装備機敏性を盛ったらちょっと得するかもよ、程度である。
増幅機敏性と各種補正・バフ
クリティカル補正の影響
属性補正はもちろん、クリティカル補正の影響も問題なく受ける。
ただし、クリティカル補正(2倍)と有利属性補正(1.4倍)、それぞれの倍率は加算されるので、属性有利時のクリティカルダメージはだいたい1.7倍(≒2.4/1.4)になる
最終ダメージ増加系バフ・デバフとの関係
弱点攻撃増加バフと同じカテゴリのバフをやみくもに組み合わせて調査した。いずれも効果は加算されている。増幅攻撃力のように、既存バフを巻き込んで乗算増加するほどおてんばではなかった。
クリティカルダメージ増加バフとの相性
結論だけいえばクリティカルダメージ増加バフの影響も問題なく受けるんだが、ここに関してはひとつ訂正がある。
これまで、クリティカルダメージバフを弱点攻撃増加系とは別種の乗算効果を持つものだとしてきたが、これは誤りだ。改めて検証したところ、クリティカルダメージバフも弱点攻撃増加系と同じカテゴリのものだった。つまり、クリティカルダメージ増加バフと増幅機敏性の効果は加算される。
これまで散々、クリティカルダメージバフは独立乗算だと謳ってきたので、そうなんだと思った方もいるかもしれない。申し訳ない。吟味.netとかいうブログのデマに気をつけてください。
ちなみに今回の件は、Discord検証チャンネルでのてってれーさんの指摘により判明した。本当にありがとうございます。
増幅機敏性の効果検証まとめ
増幅機敏性の基本効果
- ノーマル使用時、増幅機敏性+50ごとに弱点攻撃が10%増加
- スライド使用時、増幅機敏性+50ごとに弱点攻撃が10%増加
- スライド使用時、増幅機敏性は装備機敏性によるダメージの上振れを増加させる
増幅機敏性と各種バフの関係
- 増幅機敏性の効果は、スキル最終ダメージ増加系バフと加算
- 増幅機敏性の効果は属性・クリティカル補正の影響を受ける
その他
- クリティカルダメージ増加バフの効果は、スキル最終ダメージ増加系バフ(弱点攻撃増加、弱点防御ダウン、スキル防御ダウン etc)と加算
所感
しみじみ強い。
先に増幅攻撃力とかいうイカれアトミックボムを処理したせいで、なんか普通に見えてしまうが、常にレオのスライドとドライブバフを背負った状態で戦えるようなものなので、増幅機敏性も十分ヤバい。
ただ、効果が既存バフと加算、という点でまだ理性的だ。増幅攻撃力が蛮族だとしたら、増幅機敏性は挨拶のできる蛮族である。
また、今回の検証はクリティカルバフの効果に関する誤謬を正せた、という意味でも非常に有意義だった。ひとりでは気づけず、首をかしげたまま行き詰まっていただろう。一緒に首をかしげてくれた方には感謝してもしきれない。
増幅攻撃と増幅機敏のどちらが強いか
ディーラー向けコアの最適解を探るちょっとした試算。
装備込み攻撃力が15000以上の完凸サロメを例にとり、以下の2種類のコアのうちよりダメージが出るのはどちらかを簡単に計算した。
- 増幅機敏×1(メイン) / 増幅攻撃×2(サブ)
- 増幅攻撃×1(メイン) / 増幅機敏×2(サブ)
※同一増幅ステータスの効果は「加算」されると仮定して計算している。
結論だけいうと、ほかに何もバフ・デバフがない状況では②、攻撃力バフを合計100%以上もらえる状況なら①が勝った。
同カテゴリバフが増えるほど相対的に効果が弱まる増幅機敏性、ほかの攻撃力バフまで巻き込んで乗算増加させる増幅攻撃力、両者の性質の差がよく現れている。人が多いと声がちっちゃくなる陰キャとでかくなる陽キャ、集団においてどちらが強いかという話だ。
レイドやワールドボスでは、バフ・デバフのサポートがないという状況はまずありえないので、基本的にPvEでは増幅攻撃>増幅機敏になるだろう。
ただし、これは未検証の増幅クリティカルを除外しての試算だ。増幅クリティカルの内容次第では、結局全部1種ずつ盛り込むのが一番強いよね、という結論にもなりうる。参考程度にとどめてほしい。