【デスティニーチャイルド】防御無視ダメージが無視しているもの

韓国版から謎の多いスキル”防御無視ダメージ”

スキル文言だけを読めば表記ダメージ分を防御を無視して与えるのかと思いきや、使ってみるとどうも違う。ダメージが増えているのはわかるが、ではそれが果たしてどういった計算式のもと算出されたのかはさっぱりわからない。

防御無視ダメージがどのように算出されているのか。また防御無視ダメージが敵の防御に対し与える影響、あるいは敵の防御が防御無視ダメージに与える影響について調査した。

今回は紆余があまりにも曲折しすぎたため、検証過程がほとんど日記だ。他人の懊悩に興味のない方、単純な結論だけを求めている方は結論部分まで飛ばすことをおススメする。

前提

  1. 防御無視検証に使用するキャラは★6イナンナ(6凸)、★4アルテミス(4凸)、★4ダヌ(4凸)
  2. 上記3キャラはいずれもキズナMAX、かつ装備なし/バフなしの状態で検証を行う。
  3. 追加ダメージは最終ダメージに加算され、ステータスや属性相性、クリティカルの影響を一切うけない。
アルテミスダヌイナンナ

検証一日目

検証開始は4月26日。RAGNA BREAKで盛り上がる中、追加ダメージと防御無視ダメージをもつイナンナにスポットが当たる。効果がいまいち不明で謎の多い防御無視ダメージ、なんとなく嫌な予感がして検証をためらっていたが、良い機会だと手を出してしまった。

下準備

検証に際し、使用するキャラをノーマルスキル連打ディーラーのみと定めた。ノーマルスキル連打ディーラーはスライドスキルのダメージにブレが発生しない、という特徴がある。

通常、スライドスキルは機敏性による最小・最大ダメージの計算が入るためダメージにブレ幅が生じるが、ノーマルスキル連打ディーラーに限ってはそれが無視されている。

防御力が同じであれば何回殴っても同じダメージになる。

変数は少ない方がいい。変数の多い状態で検証を行うぐらいなら、干上がった肥溜めでボルダリングした方がマシだ。ということで防御無視用の検証キャラはイナンナ、アルテミス、ダヌとした。
続いて、スライドスキルのダメージ内訳について調査を行った。

スライドスキルのダメージ内訳

防御無視ダメージを持つノーマル連打ディーラーのダメージ内訳は以下の通りだ。

①基礎ダメージ+②防御無視ダメージ+③追加ダメージ

③はともかく、②を検証するためには①を明らかにせねばならない。①については以下のように仮説を立てた。

  • ノーマルスキル連打ディーラーの基礎ダメージの決定にはノーマルスキル算出式が使用されている。

【デスティニーチャイルド】通常攻撃およびノーマルスキルのダメージ計算検証

2017.12.06

スライドスキルに防御無視ダメージを持たないティタニアを使用し、同一対象にノーマルスキルとスライドスキルを交互に使用した。ティタニアの追加ダメージは90。結果は下記画像の通り。

ノーマルスキルスライドスキル

ティタニアの追加ダメージは90

ノーマルスキル連打ディーラーの、一打あたりの基礎ダメージ決定にはノーマルスキル算出式が使用されているということで間違いないようだ。この関係性は通常攻撃連打ディーラーとよく似ている。

上記画像以外にも検証は行っていて、そこでわかったことだが、ノーマルスキルにもともとついてる追加や防御無視ダメージも連打時に加算されているようだ。私は加算されないと思い込んでいたのでビックリした。イナンナが光属性を殴ると、ノーマルスキルの対光属性限定追加ダメージとスライドスキルの追加ダメージ、両方が適用されている。ケプリが妨害型を殴ると、二重の追加ダメージと防御無視ダメージに加えた4連打をぶち込むということになる。

途端にケプリやばくないかという思いに駆られガチャ画面まで行ったがなんとか踏みとどまった。あぶない。こういうとき、10連ガチャというボタンを4回ぐらい押すと冷静になれるのでオススメです。

仮説①

下準備はできたので仮説を立てよう。巷でよく言われている以下の仮説を検証する。

  • 防御無視ダメージは、防御無視の表記数値分を敵防御力から減算してダメージ計算を行う。

この仮説の検証は簡単だ。まず、もともと防御力が限りなくゼロに近い敵を殴ってみればよい。ノーマルスキルの計算式上、相手の防御力がゼロになれば、実ダメージは表記ダメージと追加ダメージの単純加算になるはずだ。

仮説①の検証

検証ステージは1-1-3、lv3アカラムをアルテミスで殴った際のダメージを計測する。lvアカラムの推定防御値は10だ。

アルテミスの防御無視ダメージは706、追加ダメージは242なので、防御無視が仮説の通りの効果であれば対象の防御値はゼロになる。ダメージは1795+242=2037となる。

おい。

検証二日目

雲行きファッキンシットな結果に一日目はそのままふて寝した。

防御無視ダメージが単純に防御力を減算するだけでないことはわかった。明らかにダメージが出すぎているからだ。仮に、防御をマイナス値まで減算したとしても計算が合わない。基礎ダメージと追加ダメージの他に、”防御無視ダメージ”という独立した数値が加算されていると考えるしかない。韓国版でもそれらしい算出式が見当たらず、ここからは完全に手さぐりになる。めんどくさい。

仮説②

防御無視ダメージがなんらかの形で与ダメージに影響を与えているらしいことはわかった。であれば、と、以下の仮説を新たに立てた。

  • 防御無視ダメージは、スキルの表記ダメージと合算されたのち、防御無視の表記数値分を敵防御力から減算してダメージ計算を行う。

つまりノーマルスキルの表記ダメージ1795に防御無視ダメージ値の706が加算され、実際は表記ダメージ”2501″で計算が行われているのではないか、という説だ。

が、これは検証するまでもなく違うとわかった。アオラム相手のダメージを試算してみると、追加ダメージなしでも2500程度のダメージが出てしまう。今度は明らかにダメージが出すぎだ。ここで仮説を立てなおす。

仮説③

  • 防御無視ダメージは、スキルの表記ダメージと合算されたのち、防御無視の表記数値分を敵防御力から減算してダメージ計算を行う。ダメージ計算にはスライド算出式が使用される

【デスティニーチャイルド】スライドスキルのダメージ計算式検証

2017.12.09

初日に積み上げた前提をさっそく覆す暴挙に出た。

スライドスキル計算式では機敏性によるダメージ減衰(最小ダメージ)に加え、敵防御値にかかる係数がノーマルスキルより少し大きい。単純に表記ダメージを加算しただけではダメージが出すぎてしまうので、何らかの減衰がかかっているのだろうと推測したわけだ。

仮説③の検証

とりあえず仮説③にしたがってアカラム相手のダメージを試算してみる。

((表記ダメージ+防御無視ダメージ)×400-機敏性×40)÷(敵防御力×0.2+400)=2265
これに追加ダメージを追加すると“2507”

おお、なんだかいけそうな数値が出た。ズレはあるが今まで一番近い。これはさっそく高防御帯でも検証せねばなるまいと喜び勇んで向かったゴールドダンジョン上級、対象はlv40エルドラド(推定防御値3620)。仮説③が正しければ最終ダメージは1169になるはずだ。なる。なってくれ。

ばかやろう。

検証三日目

勤務中、防御無視のことを想う。

仕事上のミスを上司に詰められながら、昨日のセルフ賽の河原のことを考える。スライドスキル計算式を使ったのはやはり誤りだ。機敏性による減衰だけが都合よく適用されるわけがない。

いったい、そもそも防御力とはなんだ。

防御力とは相対的なものだ。全員が必ず耐えられないものに防御という概念は存在せず、議論もない。いくら鍛えても宇宙空間に生身で放り出されて耐えられる人間はいない。ボクサーに「宇宙の攻撃を防御できますか?」と聞くインタビュアーはいない。そもそも対戦相手に宇宙をマッチメークするプロモーターもいない。だってベルトどこに巻くの。土星?

つまり防御を無視するということは相対の輪から外れるということだ。なにかに足され、ついでのように減衰したりしない。孤高でなければならない。……。

そんなことを考えていたら、ふと、天啓にうたれた。

仮説④

  • 防御無視ダメージは、表記ダメージと敵防御力から防御無視の表記数値分を減算し、最終ダメージに表記数値分がそのまま加算される。実ダメージの決定にはノーマルスキルの計算式が使用される。

つまり、防御力3000の相手に対し、表記ダメージ2000(防御無視ダメージ1000)のスライドスキルを放った場合、以下のように計算されると仮定した。

(表記ダメージ(2000-1000)×防御力(3000-1000)の減衰)+防御無視ダメージ1000

これまで表記ダメージに加算することばかり考えて、減算の可能性を考慮してこなかった。表記ダメージから防御無視ダメージ分だけが切り取られて、孤独に計算されているのかもしれない。防御無視というコンセプトからしても矛盾しない。

仮説④に基づいてアオラムとエルドラドへの実ダメージを計算すると以下のようになる。

  • アオラムへの最終ダメージ:2421
  • エルドラドへの最終ダメージ:1468

悪くない結果が出た。しかしまだ喜ぶのは早い。中防御帯でも検証すべきだろう。使用するステージは5-2-1、対象はlv30キューブ(推定防御値1722)lv40ダヌ(推定防御値1517)lv24ゴガ(推定防御値1330)。
この仮説が正しければ最終ダメージは以下のようになる。

  • キューブへの最終ダメージ:1737
  • ダヌへの最終ダメージ:1783
  • ゴガへの最終ダメージ:1830
対キューブ対ダヌ対ゴガ

いいぞ。非常に小さい誤差で収まっている。これはひょっとしたらひょっとするかもしれない。ここで検証キャラをアルテミスからイナンナに変更した。違うキャラでも同様の誤差で収まればこの仮説が証明されたということにする。

チュートリアルダンジョンのアオラムにて再検証する。机上の計算での最終ダメージは”3065″になる。なるに決まっている。±50程度の誤差は”愛嬌”の一言で片づける準備はできている。なってくれ。頼む。

検証四日目

ハイネケンをあおりながらシェアガチャ全キャラレビューを行う。

【デスティニーチャイルド】星5確定シェアガチャ全キャラレビュー

2018.04.29

検証五日目~六日目

覚悟を決め、地道な手段を採用することにした。

さまざまな防御帯でノーマルスキルとスライドスキルダメージを計測し、その差から実効防御無視ダメージを抽出する。それを散布図に起こして分析することにした。非常に面倒くさい。できれば取りたくない手段だが、やむを得ない。

まずは防御値の調査だ。アルテミスを使用し、様々なステージで属性相性がない敵を対象に調査を行った。

実効防御無視ダメージの調査

lv10ひよこがlv15ひよこより防御力が高かったりと、レベルデザイナーの千鳥足が垣間見えたりしたが、意にも介さず淡々と進める。実効防御無視ダメージがひと通り集まったら、グラフにプロットし線形近似を取った。

x軸が実効防御無視ダメージ、y軸が敵防御力値推移だ。かなりわかりやすいグラフが出来上がった。この時点でひとつ面白いことがわかる。防御無視ダメージは対象の防御力に比例して増加しているのだ。

敵の防御力が高ければ高いほど実効防御無視ダメージも増加する。無論、防御力が高ければ基礎ダメージは減少するため総ダメージ量は減少するのだろうが、これは思ってもみなかった動きだ。

FORECAST関数でスキル表記上の防御無視上限値である”706″に到達する防御値を出してみると“19,861”となった。約20,000だ。通常のゲームプレイではまずお目にかかることのない数値だろう。

とはいえこのグラフ一つだけではまだ何もわからない。ダヌとイナンナでも同様に実効防御無視ダメージ調査を行った。

アルテミスダヌイナンナ

見ての通り、ダヌだけやたら急こう配だ。スキル表記上の防御無視ダメージがダヌだけ他二名の半分以下というのが関係しているのだろうか。関係しているとして、どのように関係しているのか。

もう一つの表を見ていただきたい。

これは、スキル表記上の防御無視ダメージのうち何割が実効防御無視ダメージとして発揮されているのかを敵防御力ごとにまとめた表だ。1%未満の誤差はあれど、防御力ごとに発揮される実効防御無視ダメージの割合がほとんど同じということがわかる。
そしてその下限が60%らしいということも。

私はこの表を見たとき思わず立ち上がった。この一週間、イベントもろくに走らずに追い求めた解答がこうもあからさまに提示されている。”エウレカ!”と叫びたい衝動に駆られたが、私はアルキメデスではないし”最初からこうしとけばよかった”という気持ちの方が強かったので、座った。

防御無視ダメージの正体

防御無視ダメージは、スキル表記の0.6倍を下限とし、敵防御力の増加に比例して増加する追加ダメージである。

防御無視という言葉からは想像もしなかった効果だ。仮説がことごとく外れたのも頷ける。相手が硬ければ硬いほど本領を発揮する。相手が守れば守るほどグイグイ来るのが防御無視ダメージなのだ。黒ギャルか。

防御無視ダメージが上限値(スキル表記上の数値)に到達するために必要な敵防御力は一律20,000なのだろう。ゴールが固定なので、防御無視ダメージが低ければ低いほど傾きが急になっていくのだ。

つまり、防御無視ダメージの算出式は以下のようになる。

表記防御無視ダメージ×0.6+(((表記防御無視ダメージ-(表記防御無視ダメージ×0.6))÷20000)×敵防御力)

結論まとめ

防御無視ダメージ算出式

防御無視ダメージは、スキル表記上の数値の0.6倍を下限とし敵防御力の増加に比例して増加する追加ダメージである。属性相性の影響は受けない。算出式は以下のようになる。

表記防御無視ダメージ×0.6+(((表記防御無視ダメージ-(表記防御無視ダメージ×0.6))÷20000)×敵防御力)

ノーマルスキル連打型ディーラーの特徴

  • 総ダメージは【基礎ダメージ+防御無視ダメージ+追加ダメージ】で算出される。
  • 基礎ダメージの算出にはノーマルスキルダメージ計算式が使用される。
  • ノーマルスキルに追加ダメージや防御無視ダメージがあった場合、スライドスキル使用時にも適用される。
  • ノーマル連打型スキルは機敏性の影響を受けない。

おわりに

私はあらゆる問題解決をアブダクティブにこなそうとするきらいがあるのだが、今回はそれが完全に裏目に出た。目先の面倒ごとを避けた結果、非常に大きな遠回りをする羽目となったことは反省としたい。

さて防御無視ダメージだが、私が想定していたどれよりも妙な動きをするスキルだという結論が出た。敵の防御に逆行するものだとは思わなかった。もしいつかの将来、それこそ防御力20,000などという極端なボスが実装された際にスポットが当たりそうである。

防御に逆行するということは、防御デバフ持ちとは相性が悪いということになってしまうが、最終ダメージに顕れる差は微々たるものだ。基礎ダメージの上昇率の方がはるかに大きいので総ダメージ量が減るようなことはない。

とりあえずひと段落した防御無視ダメージ検証だが、この式が正解かというとそれは疑わしい。(このサイトで共有している計算式全てに言えることだが)私が調査した中でもっとも誤差が少ない式というだけだ。といってもその誤差は±5の範囲に収まる程度なので、参考にする分には問題ないだろう。

検証作業が思いのほか長引いてしまったせいで、イベントに乗り遅れたのは痛い。検証用のアカウント作成を本気で検討せねばなるまい。ゲームを効率よく進めるための検証でゲームができなくなるとは、こんなに転倒した本末もなかなかない。新喜劇か。

  • ノーマルスキル連打型ディーラー以外も同様の式で算出されるのか?
  • 攻撃バフの影響は? クリティカルダメージ増加バフの影響は?

まだ検証したい部分もあるが、とりあえずはレイドイベントを楽しみたい。