【デスティニーチャイルド】エポナの可能性

巷でまことしやかに囁かれる都市伝説がある。ある日突然財布から13,600円が消え失せ、かわりにチャイルドリストにエポナが二体増えているというものだ。「そんなバカな」と思っていたが、先日とうとう私にもその怪現象が訪れた。

突然2凸されたエポナにしばらく呆然としたが、思えば彼女も木属性テコ入れメンバーのひとり。これも何かの縁だと思いオニキスを突っ込んでしばらく遊んでみた。そして、ふと、思った。

この子、もしかしてめちゃくちゃ強くないか。

エポナのスキル

まずはエポナのスキルを整理する。

ノーマルスキルにデバフ回避率上昇バフの追加。スライドスキルは吸血効果を2倍、バリア量はなんと2.25倍と数字だけならヤケクソ上方修正の類に入る。基本的なスキルセットに変更はなかったため、木属性上方修正のレビューでは縁の下の力持ち以上でも以下でもないと評したが、どうやら大きな間違いだったようだ。

エポナの強さを説明するためには、まず彼女のロールから復習する必要がある。

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2018.04.13

補助型の強み

彼女のロールは補助型だ。なぜか最近まで頑なに防御型だと思っていたが、補助型だった。補助型の特徴の一つとして、スキルゲージチャージ速度がある。以下、防御型のダナと比較した際の数値だ。

  • ダナ
    スライドスキル使用後のクールタイム:7秒
    スキルゲージチャージ時間:12.5秒
  • エポナ
    スライドスキル使用後のクールタイム:7秒
    スキルゲージチャージ時間:11秒

上記の数字は韓国版のデータだが、簡単に調べてみたところどうやら変わっていないらしかった。
見ての通り、素面の状態でエポナの方が回転率が高い。

この強みがありながら+800ぽっちという、ちょっと厚めの湯葉程度のバリアしか張れなかったが、そこに大幅なテコ入れが入った。

バリアの性能比較

こちらもバリアタンカーの代名詞であるダナと比較を行う。

互いに無凸、スキルレベル1の状態で比較だ。

付与対象数はダナの圧勝。持続時間はエポナに軍配が上がる。
バリア量については、量だけを見るなら比べるまでもなくエポナの勝ちだが、ダナはこのバリアと同時に30%の防御バフを付与するので単純比較はできない。防御バフを考慮したバリアの効果値を考えねばならない。以前検証したダメージ計算式に当てはめて測定してみる。

防御3000のチャイルドが未育成状態のヘスティアに殴られたと仮定すると、ノーマルスキルとスライドスキルのダメージは以下のようになる。
※装備なし。属性相性なし。追加ダメージなど考慮しない。

  • ノーマルスキル:224ダメージ
  • スライドスキル:292~345ダメージ

これに防御バフが乗って、防御値が3900になった場合どうなるか。

  • ノーマルスキル:193ダメージ
  • スライドスキル:248~292ダメージ

ノーマルスキルは約14%、スライドスキルは約15%のダメージ低減となった。これを考慮した有効バリア量は+1627~+1647だ。なんと、防御バフを考慮してもエポナバリアの方が優秀という結論が出た。

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【デスティニーチャイルド】通常攻撃およびノーマルスキルのダメージ計算検証

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木属性がダナを手に入れた

無論、上記は極端なシチュエーションで試算したものなので机上論の気配はある。いくら持続時間が長いからといっても付与対象が3体ではパーティ全体にバリアが行き届かないのではないか、そういう懸念もあるだろう。

しかし実際に使うとその欠点らしきものはあっという間に霧消する。そもそもダナバリアも毎回全員分を消費しているわけではない。せいぜいがダメージを受けた数名分だけで、あとはただのロスだ。その点エポナバリアは残りHPの低い味方へ無駄なくバリアを配ることができる。また素の回転の良さと持続時間の長さがバリア不足をほとんど感じさせない。

定量的な評価が難しいので触れなかったが、吸血バフによる吸収量も馬鹿にできない。HP吸収スキルとは重複するため、クランプスと組み合わせると与ダメージの35%というバカげた吸収量になる。しかもスキルレベル1の状態でだ。

弱キャラの代名詞だったことが信じられない変貌ぶりだ。”木属性がダナを手に入れた”といえば私の驚きが伝わるだろうか。これは決して誇張ではない。試しにマルスと入れ替えてアングラ強をオートで走らせてみたら難なく完走してくれた。決して誇張ではないのだ。

出血デッキへの採用

私は出血デッキをとことん気に入っているので、キャラの評価軸に”出血デッキに採用しうるか否か”がある。エポナも例外ではなく、ダナのかわりに突っ込んでプラチナリーグを少し泳いでみた。

悪くない。

手ごたえはある。特に中毒へのケアがダナより得意なように感じた。中毒や出血ダメージは防御無視なので、単純なバリア量で勝るエポナが有利に働く。ほぼスライド一辺倒だったダナに比べ、バリアの持続時間が非常に長いのでノーマルスキル使用も検討する余裕がある。

しかし、なんとなくあと一押しが足りないという感じがした。
まず吸血バフと出血の相性が悪い。吸血は直殴りにしか発生せず、出血などのDoTに対しては適用されない。直殴りの弱い出血デッキでは宝の持ち腐れだ。この時点ではダナでもできることをエポナで代用しているに過ぎない。エポナの強みを、エポナのポテンシャルをもっと引き出せる方法はないかと考え、辿り着いたのが疾走エポナデッキだ。

疾走エポナデッキ

攻撃力
4716
5062
5428
7223
4025

このデッキの精髄はジュピターエポナヘスティアの三体を同時加速させることにある。

まず、攻撃力をエポナジュピターヴェルデレトとなるように調整する。コウガの加速バフをまずエポナヘスティアに付与させるためだ。その後ヴェルデレトのスライドスキルを使用すると、攻撃力が以下のように変化する。

攻撃力
6198
6544
5428
8705
4025

ヴェルデレトのバフにより攻撃力の序列が変化し、二度目のコウガの加速バフがヘスティアジュピターに適用され、三体同時加速状態となる。エポナのクールタイムは7秒+11秒で本来18秒だが、コウガのバフにより12秒前後まで短縮される(※コウガは3凸)。出血ディーラーの加速が強力なのはいわずもがな、矢継ぎ早に貼りなおされるバリアは中毒ダメージを大幅に軽減する。エリシオン入りの相手にも臆せず突っ込んでいけるようになった。

もちろん弱点がないわけではない。竹槍相手にはめっぽう弱い。ファーストタッチで一人落とされるとそれだけで破綻する。また、ヴェルデレトより先にコウガのスキルを使わねば成立しないデッキなので、開幕でコウガに沈黙が入るとエポナの加速を諦めざるをえない状況になったりもする(エポナヴェルデレトの攻撃力差をバフ増加分以上にしておけば解決はするが)。

しかしエリシオンやマフデトイブのような、広く浅くダメージを与えてくるようなデッキに対しては非常に有効に働く。極端なたとえだが、シュリンクスが倍の速さで無敵を撒いているようなものだ。相手が二回目のスライドスキルを使用するときには既にバリアが貼りなおされている。

竹槍相手には今まで通りダナ+挑発タンカーで迎え撃てばよい。エリシオン相手に光明が見えたことが非常に大きな収穫だ。その役割はヘラが担うものだと思っていたが、思わぬキャラが思わぬ進化を遂げた。エポナは間違いなく出血デッキの可能性を広げてくれた。

反省

反省をしている。

エポナについて、数字の増減だけを見て何かを知った気になり見当違いな評価を下したことに、己の不明を恥じるばかりだ。“縁の下の力持ちに過ぎない”とは、パイスラすこすこシコシコ勢の皆様にボコボコにされておかしくない暴言だった。反省している。

今回の記事では出血デッキでの使用例を紹介したが、エポナの真価はおそらく木染めデッキにて発揮される。出血デッキではやはり彼女の吸血バフを活かしきれない。まとまったダメージを出せるディーラーと組んでこその吸血バフだ。

HP吸収バフを持つクランプスアバドンとの相性は抜群だろう。フィニッシャーとしてセイレーンの起用も考えられる。ヒーラー枠はすでにシュリンクスというぶっちぎりの強キャラがいる、となると頭をもたげてくるのはブラウニーの存在だ。不足していた木属性加速バッファーの枠を彼女がちょうど埋めてしまう。

木染めデッキがあまり現実的でないと思っていたため、ブラウニーの評価も自ずと低くなってしまったが、こうなると話が変わる。劣化コウガなどという彼女への評価も改める必要があるだろう。

ヴェルデレトのときは「出血デッキ作りなさいよ」と耳元で怒鳴られている感じだったが、木染めデッキは「染めたら?」ぐらいの感じだったためその可能性に気づけなかった。エポナをハズレとはもう思わない。どころか、ピックアップされたら躊躇なくクリスタルを突っ込む可能性すらある。

エポナを持っている方は育ててみるとよい。アングラオートデッキでマルスの代替えにもなる。非常に使い勝手の良いキャラになった。