エイプリルフールのお祭りキャラという出自からしてネタ感の否めない魔王ダビだが、スキルセットは意外なほど真面目だ。特に、自己限定で諸刃バフを付与するスライドスキルは他に類を見ない。魔王ダビは単なるネタキャラなのか、それとも火属性ディーラーの最前線なのか。本稿で吟味する。
なお、ダメージの算出にはノーマルスキル算出式を使用している。
魔王ダビの基本情報
スキルセットは画像の通り。
ノーマルスキルは通常攻撃連打型だが、連打数が少ないうえ追加ダメージも低い。★5にしてはいまいちのように見える。
スライドスキルは、防御無視ダメージと回復中の対象に追加ダメージ、さらに自分自身に諸刃バフ付与と非常に攻撃的な構成だ。こちらも攻撃回数が少ないものの、スキルレベル1の基礎ダメージがやたら高く、諸刃バフも相まって一撃が重い。右手に防御無視、左手に追加ダメージを握り込み、ピーカブ―スタイルで敵の懐に潜り込んで強烈なワンツーを見舞うのが魔王ダビだ。
ノーマル、スライドともに攻撃回数が少なく設定されているのは、諸刃バフを持っているが故だろう。
では、諸刃バフの最終ダメージに対する影響力はどれほどのものなのか。検証結果を以下に掲載する。
諸刃バフの作用
諸刃バフの作用とその効果を検証する。
使用する魔王ダビは★5の2凸。キズナ/レベルマックスかつ未装備状態だ。諸刃バフの攻撃力増加倍率は51.1%。
諸刃バフの効果だが、これはスキル説明をそのままの意味で解釈し、表記%分だけ攻撃力を増加させているという前提で、ノーマルスキル使用時のダメージ推移を追った。まずは諸刃バフ適用前。
続いて諸刃バフ適用後のダメージ。諸刃バフが攻撃力にのみ作用するものだとすれば、ダメージは482まで上昇する。
そのようになった。
諸刃バフは%表記分、攻撃力を増加させていることがわかった。ダメージ算出式上、この増加分は装備攻撃力として扱われている。つまり、諸刃バフ適用時の魔王ダビはいわば攻撃力2531の武器を装備しているのと同じ状態になっているのだ。
装備攻撃力が通常攻撃に与える影響は微々たるものなので、ダメージの増加も控えめというわけだ。
そして諸刃バフにはもう一つ面白い作用がある。
諸刃バフの装備への作用
諸刃バフは素の攻撃力だけでなく、装備によって増加した分にも作用することが判明した。検証のために使った魔王ダビの情報は次の通りだ。
装備込みの攻撃力は6259。
装備分にも諸刃バフが作用すると仮定すると、諸刃バフ適用後の攻撃力は9457となりノーマルスキルのダメージは一打当たり500となる。
一方、作用しないと仮定すると、ノーマルスキル一打当たりのダメージは494だ。
実際はどちらになっただろうか。
ご覧の通り、装備による攻撃力上昇分にも諸刃バフは作用している。
さてこうなると、攻撃力バフによって増加した分にはどうなのか、という疑問が出てくる。
諸刃バフの、他攻撃力バフへの作用
装備状態の魔王ダビに、ヴェルデレトの攻撃力バフを重ねた状態で検証を行った。
諸刃バフが他の攻撃力バフにまで作用するのであれば、ダメージは521まで上昇する。
ダメージは上昇したものの想定より低くなった。この数値はヴェルデレトの攻撃力バフが単純加算された場合と同値である。つまり、攻撃力バフに諸刃バフは作用しなかったということになる。
念のため、諸刃バフとヴェルデレトバフの使用順を変えたりしても検証してみたが、ダメージに変化はなかった。諸刃が他の攻撃力バフにも作用するとしたら、だいぶロマンのある感じだったが、残念ながらそんなうまい話はないらしい。攻撃力バフは別枠加算なのだろう。
諸刃の防御デメリットについて
諸刃の剣バフは、その名の通り、攻撃力上昇の対価に防御力を減少させるデメリットを持つ。
このデメリットで防御力はどのぐらいまで下がってしまうのか、については別稿にて検証をしている。興味のある方は下の関連記事を参照してほしい。
結論
- 諸刃バフは攻撃力を表記倍率分だけ増加させる。増加分は装備攻撃力として扱われる。
- 装備によって増加した攻撃力も諸刃バフの影響を受ける。
- 他キャラのバフによって増加した分は諸刃の影響を受けない。
魔王ダビの使いどころ
シナリオ
バフと殴りを一人でこなせる上、シナリオ上行き詰りやすい回復型過多編成の相手にも安定してダメージが取れる。諸刃による防御デメリットだけは挑発タンカーなどでフォローしてやる必要はある。ハードモードだと一撃で瀕死になることも少なくない。
RAGNA BREAK
スライドによる殴りは申し分ないものの、やはりフィーバーダメージの低さがネックとなる。諸刃バフが通常攻撃連打スキルに与える影響は微々たるもので、元々追加ダメージが低いということもあり、他の通常攻撃連打ディーラーと同等あるいはちょっとマシ程度のダメージしか出ない。RAGNA BREAKのメインディーラーとしては全く向かない。サブディーラーとしてならまだ可能性はあるが、それなら最初からディナシーを連れてくればよいという話になる。
デビルランブル
回復中対象への追加ダメージを発生させやすいという利点はあるものの、諸刃バフを付与してからようやく本領発揮ではデビルランブルの展開についてはいけないだろう。こちらも残念ながら全く向いてない。等身大のパネルを置いた方がマシ。ダビを使ってデビランを勝ち上がらないと生コン飲まされて沈められるとかでない限り、起用はおすすめしない。
ワールドボス
魔王ダビが最も輝くのはおそらくここだと思われる。諸刃バフの防御デメリットも後列なら完全に無視できるし、フィーバーダメージの弱さも大して問題にはならない。ディナシーを同時編成した場合、諸刃が上書きされるという懸念はあるものの、逆にいえば諸刃が行き渡らない可能性を考慮しなくて済むということ。後列においておけば勝手に仕事をしてくれるだろう。
おわりに
魔王ダビは非常に惜しい性能をしている。
火属性屈指のハードパンチャーであるにも関わらず、嫌がらせのようなノーマルスキルに足を引っ張られ活躍の場を狭めてしまっている。ディナシーを使えば他のディーラーにも並ばれてしまうというのもやや惜しい。
また、火属性には諸刃をさらにブーストするバフを持っているキャラがいない、というのも惜しい理由の一つだ。例えばワーウルフのような、別枠乗算系のバフ持ちが来れば魔王ダビのダメージはさらに跳ね上がる。最終ダメージプラス系や攻撃力加算増加系のバフでは諸刃の良さがあまり活かせない。今後実装されるキャラの内容によっては、もしかしたらというロマンはある。
とにかく環境があまり良くない。装備分も含めた攻撃力ステータスを1.5倍前後に増加させられるのは、ひとりだけ界王拳が使えるようなもので、弱いわけがない。しかし今はそれがあまり活かせる環境にない。
ソウルカルタや温泉など、ステータス底上げ系のコンテンツが実装されるにつれ魔王ダビの攻撃力はどんどん上がっていくだろう。ある日急に「こいつ、ぶっ壊れてないか?」となる日が来るかもしれない。しかしそれが起こるときは、このゲームが後戻りできないほどにインフレした後だ。
魔王ダビは、デスティニーチャイルドの終末時計なのかもしれない。