闇属性最強の座をフレイから奪わんとすい星のごとく現れたサターン。果たして闇属性最強はどちらなのかを、フレイとサターンそれぞれの強みとそれを活かす編成について解説を行いつつ考察する。
サターンとフレイ:それぞれのスキルの特徴とその強み
どちらが強いかを議論する前に、まずそれぞれにどのような強みがあるかを知らなくてはならない。サターンとフレイ、それぞれどのような強みがあるのだろうか。
サターンの特徴と強み
サターンがリーダーバフ、およびドライブスキルで付与する“弱点スキル最終ダメージ増加”。これこそが彼女の強さの核心であり、その戦闘力が他の闇ディーラーと一線を画す所以である。サターンの強さを真に理解するためには、まずこの弱点スキル最終ダメージ増加の効果について知っておこう。
リーダーバフ有無による最終ダメージの変化
弱点属性の敵に対して攻撃を行った際に効果を発揮する”弱点スキル最終ダメージ増加”。その内容は“追加ダメージを除く弱点属性へのスキル最終ダメージを表記倍率分だけ上昇させる”というものだ。実際どのように作用するのかまずは見てみよう。
画像は、1凸サターンを用いて光属性の敵にそれぞれノーマルスキルを一発放った際のダメージである。
追加ダメージ371を差し引いたダメージ増加率を計算すると、1968÷1789≒1.10。レイド外でのサターンのリーダーバフは”弱点スキル最終ダメージを10%増加”なので、なるほど表記通りである。
では続いてレイドボス、Lv40ハイライトアリアを殴った際のダメージについても見てみよう。
追加ダメージ371を差し引いて増加率を出すと、2671÷2337≒1.143。おや?
妙なことが起こっているのがわかるだろうか。サターンのリーダーバフはレイド時にボーナスが発生し”弱点スキル最終ダメージ”を20%増加させる。にも関わらず、実際に増加したダメージは14%強と少ない。なぜか。これはサターンのリーダーバフ効果が、ハイライトアリアにフィールド効果として付与された“弱点防御ダウン”効果と加算されたためである。
“弱点スキル最終ダメージ増加”と”弱点防御ダウン”
“弱点スキル最終ダメージ増加”と”弱点防御ダウン”、これらは異なるバフとデバフなのだが、ダメージ計算上の扱いが全く同じで、しかも同時に付与された場合に効果が加算されるという特徴を持つ。
この“弱点スキル最終ダメージ増加”と”弱点防御ダウン”の効果が加算される、ということについて以下に例を挙げて説明する。
ハイライトアリアに付与された弱点防御ダウン効果は推定40%。そこにサターンのリーダーバフが重なると、最終的に増加するスキルダメージは60%(=40%+20%)となる。仮に、ある闇属性ディーラーがハイライトアリアに本来与えるダメージを10000としよう。これがフィールド効果の弱点防御ダウンを受けて以下のようになる。
10000×1.4=14000ダメージ
ここにサターンのリーダーバフが入ると、以下のように計算式が変化する。
10000×(1.4+0.2)=16000ダメージ
本来与えるダメージである10000がフィールド効果とバフによって60%増加し、16000になる。全く普通のことのように思えるが、ここに落とし穴がある。
ハイライトアリア戦においては弱点防御ダウンが初めから付与されてしまっている以上、我々は”本来与えるダメージ”というものを知ることができず、既に40%増加したダメージ、上の計算式でいうと14000を”バフの乗ってない本来与えるダメージ”と錯覚してしまうのだ。この錯覚に陥った状態でサターンをリーダー運用すると「最終ダメージが20%増加してないじゃないか!」となるわけだ。
サターンのリーダーバフはきちんと”本来与えるダメージ”を20%増加してくれているが、レイドボスやワールドボスのように、はじめからフィールド効果として弱点防御ダウンが付与されている敵に対しては相対的に効果が減少してしまう、ということは覚えておくとよい。
フレイの特徴と強み
続いてフレイのスキルを見ていこう。彼の特徴はなんといっても装備(バフ)倍率増加型のスライドスキルだ。過去記事でも検証を行っているが、ここでも改めて説明しよう。
このスキルの効果を簡単に言うと、装備またはバフによって増えた攻撃力を表記倍率分だけさらに増加させるもの、である。
画像で例に挙げたフレイの場合、スライドスキル使用時にあらゆる装備とバフによる攻撃力上昇効果が73%増加(=1.73倍)する。すなわちフレイにとっては、攻撃力が1000増加する武器は1730増加するのと同じ意味を持ち、攻撃力が2000増加するバフは3460増加するのと同じ意味を持ち、攻撃力が60%増加するバフは103.8%増加するのと同じ意味を持つこととなる。
応援や諸刃の効果を約1.7倍するスキルといえば、なんというブッ壊れだと思うことだろう。育成状況、装備、限界突破数が同じ闇ディーラー同士でも、フレイだけやけに突出したスライドスキルダメージを出すことがあるのはこのためである。フレイはスライドスキルの王様なのだ。
にも関わらず、これまで王様どころかむしろかませ犬っぽい扱いを受けてきたのは、彼のシナリオ上の役回りによるものだけではない。この装備(バフ)倍率増加型スキルは、装備・バフ・限界突破数を高い水準でクリアできないと真価を発揮できないという、宿命的欠点を持っている。リリース間もない頃は、大したことないじゃんという印象を持った方も多かったはずだ。
ソウルカルタや強バッファーが実装された今、ようやく時代がフレイに追いついたと言える。
ダメージを構成する要素とその影響
サターンとフレイがそれぞれ違った強みを持つディーラーであることは前段で述べた通り。無理やり分類するならサターンは弱点スキルダメージ特化型、フレイは攻撃力特化型となるだろう。
どちらも大きなダメージを出せることに変わりはないが、そのダメージを構成している要素の内訳は大きく異なる。ダメージの構成要素が異なるということは、適切な編成も異なるということだ。
適した編成がどのようなものかという話をする前に、サターンとフレイ、それぞれのダメージを構成する要素についてもう少し詳しく説明しよう。
バフカテゴリと最終ダメージへの作用
バフカテゴリとは何か。
“弱点スキル最終ダメージ増加”と”弱点防御ダウン”のように、最終ダメージへの作用の仕方が同じものをまとめるため便宜上、私が勝手につけた呼称だ。
この辺の詳しい話を知りたい方は上の関連記事を参照してほしい。今は、同じカテゴリに属するバフ同士は効果が足し算で増加し、異なるカテゴリ同士は掛け算で増加すると、ざっくりそのような理解で問題ない。
ここからは、サターンのリーダーバフのような弱点スキルダメージに作用するバフやデバフを弱点スキルダメージ増加系。応援や諸刃、フレイのスライドスキルのように攻撃力ステータスに影響を及ぼすバフを基礎スキルダメージ増加系と定義して話を進めよう。
サターンとフレイ、それぞれのダメージを構成する要素
たとえばサターンとフレイが、いずれも光属性に対しスライドスキルで10000のダメージを出したとする。この時、結果(最終ダメージ)は同じでもその内訳には大きな違いが生じている。10000ダメージの大半を、サターンは弱点スキルダメージ増加によって、フレイは基礎スキルダメージ増加によって稼いでいるのだ。
結果が同じなら内訳なんかどうだっていいだろうと、そう思う方もいるかもしれない。サターンやフレイを単体で運用するならそれも正しい。しかしバッファーと組み合わせて運用するとなるとちょっと事情が変わる。ここからは具体的な例を交えて説明しよう。
バッファーとの相性(例:ワーウルフ)
これは、フレイとリーダーバフ有効状態のサターンとで、Lv40ハイライトアリアに対し覚醒バフのスライドスキルダメージアップの効果がどの程度発揮されているかを調査した表である。
バフが五つある状態で覚醒を付与すると、スライドスキルダメージは50%増加する。しかしいずれの増加率も50%には満たない。なぜか。覚醒の効果がフィールド効果の弱点防御ダウン効果と加算されているためである。覚醒によるスライドスキルダメージ増加も、弱点スキルダメージ系バフと同じカテゴリなのだ。
ではサターンのダメージ増加率がフレイよりも低いのはなぜか。これは、サターンにはリーダーバフで弱点スキル最終ダメージ20%増加が付与されているからだ。
サターンはフィールド効果とリーダーバフとで、最初から弱点スキルのダメージが60%も増加した状態になっている。そんなところへさらに同じカテゴリのバフを重ねても、その効果は相対的に減少してしまう。一方でフレイにはフィールド効果の影響しかない。そのため覚醒付与時の実ダメージ増加率がサターンより少し高くなるというわけだ。
バッファーによってディーラーのポテンシャルを最大限発揮させたいのなら、まずそのディーラーの得意分野が何かということを把握しておかねばならない。一見同じ効果に見えるバフも、カテゴリが違うだけで結果に大きな差がうまれることもある。
サターン型編成とフレイ型編成
では、ディーラーのポテンシャルを最大限発揮できる適切な編成とはどんなものか。サターン型編成とフレイ型編成それぞれについて具体例をあげつつ説明しよう。
サターン型編成のバッファー/デバッファー相性
相性の良いバッファー/デバッファー
自前で弱点スキルダメージを大きく伸ばせるサターンは、基礎スキルダメージ部分を増加するバッファーとの相性が良い。基礎スキルダメージが伸びるほど、最終的なダメージは掛け算で上昇していく。
特に面白いのがスキルダメージを直接増加させるデュランダルだ。完凸デュランダルの付与するスライドスキルダメージ+1808は、攻撃力が7000以上増加しているのに等しい効果を持つ。スライドスキルのみとはいえ、ダメージに与える影響だけを見れば応援にも匹敵する。ただ加速部分が闇属性攻撃型以外にはランダム付与なので、オート戦闘だと安定しないかもしれない。
そうでもないバッファー/デバッファー
相性が良くない、と言ってしまうと誤解を生むのでそうでもないと表現した。効果がないわけではないが、サターンとのシナジーが薄いバッファー&デバッファーたちだ。
弱点スキルダメージを自前のバフでまかなえるサターンに対して、それ以上に弱点スキルダメージアップ系(弱点防御減少、覚醒など)を積むのはあまり賢い選択とは言えない。ワールドボスのように枠が余っているのなら話は別だが、そうでないならもっと相性の良いバッファーと組み合わせた方がダメージは伸びるだろう。
ちなみに、デュランダルとワーウルフを比較すると、サターンの凸が低いほどデュランダルバフのダメージ増加効率が勝る傾向にある。
サターンが無凸~1凸程度だと、6バフ付与状態の覚醒と無凸デュランダルのバフの効果が大体同じになる。完凸サターンに対しては6バフ付与状態の覚醒がさすがにちょっと勝つが、デュランダルの加速の影響を加味すればおそらくそんなに変わらない。
フレイ型編成のバッファー/デバッファー相性
相性の良いバッファー/デバッファー
攻撃力上昇バフの効果をゴリっと増加させられるフレイは、諸刃や応援など攻撃力を大幅に増加させられるバフと相性が良い。さらに、フレイが自分ではまかなうことのできない弱点スキルダメージ増加系も同時に付与できるならなお良い。最終ダメージは飛躍的に伸びることだろう。
特に、応援で攻撃力と弱点スキルダメージ両方を増加させられるNモナと、攻撃力バフと覚醒(スライドスキルダメージ割合上昇・クリティカルダメージアップ)で三つのカテゴリに渡ってバフを付与できるワーウルフとのシナジーは抜群である。
そうでもないバッファー/デバッファー
これも相性が良くないというよりは、フレイの強みを活かせないといった方が正しい。スキルダメージを直接加算するタイプのバフは、フレイの倍率増加型スキルの影響を受けない。どんなキャラであっても同じ効果を発揮できるという特性が、ここではデメリットになってしまっている。
上で、完凸デュランダルのスライドスキルダメージ+1808は攻撃力換算で7000以上の効果を持つと書いたが、完凸フレイであれば攻撃力バフを4000積むだけで同等の効果が得られてしまう。であれば、スライドのダメージしか上がらないデュランダルバフより、ノーマルダメージも上昇させられる攻撃力バフを選んだ方が良いというものだろう。
どちらの編成にも有効なバッファー/デバッファー
基礎スキルダメージや弱点スキルダメージとも違うカテゴリのクリティカルダメージアップバフ。クリティカル発生時という条件付きではあるものの、大きくダメージを伸ばすことができる。
ただ、単純にクリティカル時のダメージだけを見るなら、パンテオンよりも三つのカテゴリに渡ってバフを付与できるワーウルフが圧倒的に勝る。自己バフでクリティカル発生率をまかなえるフレイ型編成の、特にオート戦闘においてはワーウルフを採用した方がスコアは安定するだろう。
しかしこれはどちらか一方しか編成できない場合の話であって、両方編成できるならそりゃそっちの方がよい。
化け物防御デバッファーのバートリー。敵防御力は、基礎スキルダメージや弱点スキルダメージ、クリティカルダメージともまた違うカテゴリになる。基礎スキルダメージと弱点スキルダメージを充分確保できている状況ならバートリーを導入することでさらに爆発的に、まさに爆発的に、ダメージを伸ばすことができる。
しかし、レイドボスのように元々デバフ耐性がついているような敵に対しては、どうしてもダメージがバラつく。バートリーの凸数にもよるが、オート戦闘では中々安定しないだろう。手動でハイスコアを狙うなら充分過ぎるほど検討の余地がある。
サターン vs フレイ:結局、闇属性最強はどちらか
わかんない。
強さの方向性が違いすぎるため単純な比較がしづらい。
ただ、現環境で条件が同じならサターンに軍配が上がるとは思う。
フレイがサターンを超えるためにはまず完凸が前提である。それでいてサターンと同等以上の弱点スキル最終ダメージ増加バフを積まねばならないが、そんなことができるバッファーは闇属性にいない。一方でサターンは応援や諸刃で攻撃力を積み放題だし、リーダーバフは自分以外にも効果を発揮する。トータルで見るとどうしてもフレイは分が悪い。
ただそれもあくまで現環境での話だ。キャラインプレッション記事でも書いたように、サターンのバフは伸びしろがないのだ。しかしフレイはステータスのインフレに寄り添うように自身を強化することができる。
今後、温泉が実装されて、装備がインフレして、さらにフレイにも充分な弱点スキルダメージ増加バフを付与できるバッファーが現れた時、このパワーバランスはまた変わってくるだろう。
その頃にはまた別ベクトルのやばい奴が実装されていそうではあるが。
おわりに
長々と書いたが、結局は相性を考えて編成を組もうねと、それだけの話だ。
攻撃力特化型のフレイと弱点スキルダメージ特化型のサターンは、どちらも得意分野がハッキリしており、それぞれ適したバッファーを用意しないと真価を発揮できない、という点で非常に優秀な教材である。御託はいいから結果だけを知りたい、という方はラグナランク上位を眺めてみるとよいだろう。ダメージ効率の正解はいつだってあそこにある。
ちなみにこのディーラーの得意分野に合わせてバッファーを選ぶ、という考え方はいくらでも応用が利く。編成を考えるのに役立つのはもちろん、これまで当たり前に編成していたキャラが急にお払い箱になったとき、それにいち早く気づけるようになる。また、新しくバッファーが実装されたときにそれが強いのか弱いのかを判断しやすくもなる。
知識を蓄えるということは、あなたのお財布を守ることにも繋がるのだ。これは身をもって実証済みだ。
ただ、マジの強キャラが実装されたとき、蓄えた知識が牙をむくこともある。
これも実証済みだ。